従業員が実孫を健康保険の扶養に入れるためには、主として従業員の収入で実孫の生計を維持していること が要件となる。
(根拠法令:健康保険法第三条第七項)
主として従業員(被保険者)の収入で生計を維持している状態とは
主として従業員の収入で実孫の生計が維持されている状態とは、次の基準をもとに判断される。なお、実孫と同居しているか、別居しているかで、その基準が異なる。
<同居の場合>
実孫の年間収入が130万円未満(実孫が障害厚生年金の受給に相当する障害者の場合は、実孫の年間収入が180万円未満)、 かつ、 実孫の収入が従業員の収入の半分未満 であること。
ただし、 実孫の収入が半分以上であっても、従業員の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、従業員がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがある。
<別居の場合>
実孫の年間収入が130万円未満(実孫が障害厚生年金の受給に相当する障害者の場合は、実孫の年間収入が180万円未満)、 かつ、 実孫の収入が従業員からの仕送り額未満 であること。
(関係通達:昭和五二年四月六日保発第九号・庁保発第九号 収入がある者についての被扶養者の認定について)
※年間収入について
年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいう。よって、扶養になる前日までの収入は含めず、所得税法上の収入(その年の1月1日から12月31日までの間の収入)とは考え方が異なることを押さえておかなければならい。なお、給与所得等の収入が月額108334円以上、又は雇用保険等の受給者で日額3612円以上ある場合は、年間の見込み収入額が130万円以上となり扶養にすることができない 。
また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれるので、この点も所得税法上の考え方とは異なるので注意しなければならない。
同居か別居かは問わない
従業員の扶養にすることができるのは三親等内の親族に限られる。そのうち配偶者、子、孫、兄弟姉妹、直系尊属の父母、祖父母及び曾祖父母は同居か別居かを問わない。よって、従業員が実孫と同居していなくても要件を満たしていれば扶養にすることができる。
(根拠法令:健康保険法第三条第七項)