配偶者の扶養条件
従業員が配偶者を健康保険の扶養に入れるときは、次のいずれの要件も満たしていなければならない。
- 主として従業員の収入で配偶者の生計が維持されていること
- 配偶者の年齢が75歳未満であること
(根拠法令:健康保険法第三条第七項)
主として従業員(被保険者)の収入で生計を維持している状態とは
主として従業員の収入で配偶者の生計が維持されている状態とは、次の基準をもとに判断される。なお、配偶者と同居しているか、別居しているかで、その基準が異なる。
<同居の場合>
配偶者の年間収入が130万円未満(配偶者が60歳以上又は障害厚生年金の受給に相当する障害者の場合は、配偶者の年間収入が180万円未満)、 かつ、 配偶者の収入が従業員の収入の半分未満 であること。
ただし、 配偶者の収入が半分以上であっても、従業員の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、従業員がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがある。
<別居の場合>
配偶者の年間収入が130万円未満(配偶者が60歳以上又は障害厚生年金の受給に相当する障害者の場合は、配偶者の年間収入が180万円未満)、 かつ、 配偶者の収入が従業員からの仕送り額未満 であること。
(関係通達:昭和五二年四月六日保発第九号・庁保発第九号 収入がある者についての被扶養者の認定について)
※年間収入について
年間収入とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいう。よって、扶養になる前日までの収入は含めず、所得税法上の収入(その年の1月1日から12月31日までの間の収入)とは考え方が異なることを押さえておかなければならい。なお、給与所得等の収入が月額108334円以上、又は雇用保険等の受給者で日額3612円以上ある場合は、年間の見込み収入額が130万円以上となり扶養にすることができない 。
また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれるので、この点も所得税法上の考え方とは異なるので注意しなければならない。
扶養することができるのは75歳未満
75歳以上は原則として後期高齢者医療制度の被保険者となり、健康保険の被扶養者になることができないため、従業員の扶養になれるのは75歳未満の配偶者ということになる。ただし、75歳以上であっても後期高齢者医療制度の適用除外に該当する場合はこの限りではない。
(根拠法令:健康保険法第三条第七項、高齢者の医療の確保に関する法律第五十条、高齢者の医療の確保に関する法律第五十一条)
同居か別居かは問わない
従業員の扶養にすることができるのは三親等内の親族に限られる。そのうち配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属は同居か別居かを問わない。よって、従業員が配偶者と同居していなくても他の要件を満たしていれば扶養にすることができる。
(根拠法令:健康保険法第三条第七項)
内縁関係の配偶者は?
戸籍上の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様である者、いわゆる内縁関係にある配偶者を健康保険の扶養に入れる条件は、届出をしている配偶者を扶養に入れる条件と同じである。
(根拠法令:健康保険法第三条第七項)